・「放射線忌避」で片付けられている現状の実態および問題解消へ向けた調査・分析
地震・津波による死者数を避難後の震災関連死者数が上回った今、避難の是非に議論が及ぶことを避けて行われてこなかった議論を始めるべき。避難の理由は、「放射線忌避」だけでなく、賠償、教育、医療等への様々な不安にある。また爆発することは無いのか、といった基本的な不安も無くなっていない。住民の立場で、不満不安ニーズの中身を解きほぐす研究が必要。
・福島の実態を伝える効果的なアプローチ(対象:福島県外)
福島の状況について、様々な情報は提供されているにもかかわらず、伝わっていない。これを解消するにはどうしたら良いか?教育工学(e-learning、ARゲーム等)で幅広く伝えることは効果があるのでは?サイエンスカフェで学術領域の制約が軽くなれば伝わりやすくなるのか?
・原子力の特殊性
福島の問題が現在進行中であり、事故炉のコア部分も手つかずに残っている中で、他の原発で再稼働が進むことへの割り切れ無さ、納得しがたい感覚があることも事実。
・原子力関係の発信内容の適切性
2017年2月に行われた福島事故炉内のロボットによる線量測定の報道が、アメリカで一時、福島で放射能漏れ再来と誤解されたが、アメリカ原子力学会の尽力で沈静化された。日本からの発信の仕方、専門家によるフォローアップで、学ぶべきことはないだろうか?
・廃炉研究開発を進める上での社会的課題
廃炉は社会として必ず解決しなければならないテーマで、技術だけでなく社会的な取り組みが必要な、まさに社会技術システム的な課題だが、その廃炉を進めるための問題設定すらできていないのが現状。例えば、時間がかかるので、廃炉を将来担う人材育成というような問題もある。今のようなやり方でこの領域にサステナブルに人が入ってくるかも課題で研究対象では。