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2-1 安全規制・防災対策のあり方
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原子力発電の安全確保にはこれまで以上に取り組む必要がある。例えば専門家を多く揃えた米国のNRCや航空機事故調査委員会のような組織が日本にも必要なのではないか。また、原子力防災については、現在、原子力災害対策特別措置法の検討が進められているが、事故が起きないと対応しないことには怒りを感じる。電源三法の見直しを含め、国は思い切った政策をとってほしい。
最も大切な原子力安全規制行政についても、推進と規制が分離されていない状態のまま、いわば護送船団的体質の中で進められていたのではないか。
原子力安全確保体制については、推進と規制とを分離することと、責任、実行、効率が保たれることが重要である。この観点から、現在のダブルチェックは、適当ではない。
理想的な安全規制の組織は実力があり、推進とは切り離して、一段階の審査でよい。安全規制については守れない規制を設定しても機能せず、業界の自主規制をベースとすべきというのが現実的である。
安全と廃棄物の問題については総力を挙げて取り組むことが必要である。
JCOの事故を契機にこれまでの考え方を改めないといけない。原子力安全行政は破綻をきたしているという認識からスタートすべき。
行政改革の中で、原子力委員会、原子力安全委員会が内閣府に移行するが、国民が安心してまかせられる組織とし、安全対策の充実強化が図られるべきである。原子力災害では広域にわたり被害が及ぶため、国の責任を明確にした原子力災害対策特別措置法が作られるべきである。
安全行政について、原子力災害対策特別措置法等が制定されたが、今後、組織論的な検討が必要。ただし、行政委員会的組織では透明性が低下する可能性もある。今後、これらを含め十分な議論を行う必要がある。
安全は国が与えてくれるものと考えるのが日本の特徴であるが、それでは大きな政府になっていく一方である。安全確保のためには、実情をよく知っている現場事業者の役目が重要であり、また、当事者間の相互チェックが必要である。行政担当者は異動が多く、内容に精通していないのではないか。
原子力災害対策特別措置法で規定された「原子力防災専門官」が機能するのか疑問である。制度に魂を入れることができるかは今後の課題である。
日本では、事故が起きるまでは事業者の責任で、起きたら国や自治体の責任と言うが、それでいいのか疑問である。
いつも事故があったらその事故だけについて議論する。もんじゅの事故など関連した事故を含めて議論すべき。世界的な流れの観点から考えて欲しい。原子力には未来がないと思う。
普段から原子力発電のようなシステムを維持するのに大変な思いをしている。それだけに、JCOの事故により原子力発電は危険だというイメージが強く人々の中に残ってしまった点で、非常に残念だ。事故に対する海外の論調も呆れや驚きといったものが多く、これまで日本が持っていた技術大国として自尊心を深く傷つけるものであった。
JCO事故は杜撰な管理不在に起因するものであり、原子力安全文化の不備は免れないが、原子力の安全神話も危機神話も言葉だけの問題である。
「JCO事故の延長線として、原子力政策の問題がある。」と一般国民が誤解する恐れがある。そうではなく両者を分けて議論すべき。「破綻」をきたしたという意見には異論がある。今回のJCO事故では犯罪行為が行われた。事故と原子力行政の問題は明確に区別すべき。
確かに改める点が非常に多い。また、今回の事故と原子力政策を分けて論じるのは不可能。
原子力は災害に対して強いのか、特に地震に対して検証する必要がある。幸いこれまで日本の原子力発電所は震度5以上の地震に見舞われたことがないが、もしそのような地震が起こった場合は、液状化現象などの地盤災害の影響を受ける可能性を考慮する必要がある。また、日本の原子力発電所は活断層上に建てないこととされているが、活断層以外の地域でも大きな地震は起こる可能性があり、安心はできない。
地震への防災ばかりについてではなく、原子力関連事故に対しての防災対策システムもしっかりと構築していくべきだ。原子力はハード面の対策はしっかりしているが、ソフト面に問題があった。
専門家のおスミ付きで事故を繰り返してきたことを認識すべきである。
技術的な観点から絶対安全というのはあり得ない。にもかかわらず、絶対安全という言葉を使ってしまうのは、社会的に許容されるリスクの範囲が明確ではないからだ。リスクについて、どの位ならば許容されうるのかもっと議論されるべきであり、それを社会に発信していくシステムが必要である。
リスク評価は事故が起こる前に行い、安全管理に反映させるもの、防災は起こった後の対応であり、分けて議論すべき。
リスクの議論では、3プラス1の責任が重要である。すなわち①国はリスクが社会的に容認できる程度に十分に小さいかどうかを判断する責任がある。②さらに、その許可条件が維持されていることを監査する責任がある。③設置者は技術的能力を維持する責任があり、原子力発電所では保安規定がこれに該当する。これらの責任はパラレルに存在する。さらにもう一つ④許可しても残っている残存リスクに対して、小さいから対応しなくていいのではなく、発生した場合の責任としての防災がある。今回、原子力災害対策に関する法律が制定され、防災の責任が明確化された。
事故が起きた場合、通報遅れの問題を解決するため、自治体自身が異常を発見できるようなシステム作り(自治体によるモニタリングシステムおよび原因究明システム)が必要ではないか?
東海村内には14ヶ所の原子力関連事業者が立地している中で、今後は安心して暮らせる村というのを重要なテーマとして掲げなくてはならない。従って、原子力安全規制の強化と原子力防災問題の改善が必要であり、政府への支援を期待している。
嘘をつかないシステムづくりが必要である。マスコミに叩かれることや、納期が遅れることを怖がらず、経済性や利益追求よりも安全性を優先すべきである。 マスコミに叩かれたくない、あるいは納期を守ろうと考えるのはこの社会では普通のことではあるが、違約金など、嘘をついた結果、社会的に拒否されるようなシステム作りが必要である。企業や政府による理解も必要である。
安全性については、「安全」と説明する人間のパーソナリティ、その人への信頼感が重要である。スポークスマンには一番有能な人を充てるべきで、年季の入った人、安心できる人を現場に張り付けてほしい。
国民の大部分は、原子力に対し「良く分からないが不安」というイメージを持っている。どのように安全性が保たれているのか等、人々が知りたい情報を分かり易く提示してほしい。また、その仕組みを信頼性の高いものにしてほしい。
国によって推進と規制の分離システムは異なっている。現在の日本の原子力安全委員会の位置づけは、他国に比べ、比較的独立性は高いといえる。
何度か原子力発電所を見学する機会を得たが、発電所では防災訓練等の対応がしっかり行われているとの印象を持っている。
発電所見学をしても、不正な手順まで確認できず、また、専門家にいくら安全と言われても、まだ何かあるのではないかとの疑問が残る。
原子力を考える視点として、リスクとベネフィットのバランスを評価する必要がある。特に原子力のリスクとしては事故と放射性廃棄物があるが、これらリスクを技術、即ち人間の知恵により補う必要がある。
事故は、考えもしなかったところから発生するもの。今回の事故への対策だけでなく、事故は論理的に考えられるものではないということを意識して、広く全般的に見直すことが必要である。
食料供給において、危険性を管理する手法としてHACCPがあるが、同じ手法が原子力でも活用できないか。この手法では、各事業者が責任を持つことになる。
ガソリンスタンドで事故が起きても、すぐに車社会を放棄するという議論にはならないのは、社会が車の必要性を十分認識しているからであるという意見があるが、原子力発電に対しては、その必要性が必ずしも認識されているとは言えない。
電気は家庭用だけでなく、社会で幅広く使用されており、事故があったからといって、直ちに原子力発電をやめるべきだと簡単には言えない。
現在の損害賠償制度を全面的に見直して、賠償措置額を大幅に増額するとともに、政府ではなく、より事業者に支払いを求めるべきなのではないか。
「事象」は非常に一般的に使われる言葉である。それを専門用語として使うのは間違っている。最初から「事故」と訳すべきであった。
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