1-5 エネルギー需給構造のシナリオ
政府は温暖化防止のために20基の原子力発電所が必要と言っているが、その根拠の説明が不十分である。リードタイムも考えると、誰も目標年次までに20基建設されるとは思っていない。立地の困難さや、世界の情勢から、現実として原子力発電の増設はできなくなる。ソフトランディングに向け、今からその場合のシナリオを用意する必要がある。省エネ促進などについて議論しなければならない。
エネルギー需給見通しは、1年前に本として出版されている。その中で原子力発電所20基増設の根拠も出ている。これは努力目標の数値である。個人的には、それが現実にできるとは思っていないが、半分できれば成功と思う。原子力発電所20基分に対応するCO2削減量は石炭換算で2000万tに対応し、貢献度はかなり大きい。
政府において、脱原発のシナリオを検討する場を設けるべきである。
脱原発を主張するのなら、具体的な脱原発シナリオを出していくことが必要ではないか。是非出してもらいたい。脱原子力については、共通のデータの上に立ってそれを提案する人達が責任を持ってシナリオを提示してもらうのが良い。
以前、円卓会議の場で脱原子力発電のシナリオを作成すべきという意見が出され、総合エネルギー調査会原子力部会でも原子力がない場合の検討を行ったことがある。
2010年を考えれば、シナリオの幅はあまりなく、さらに先のことを考えた上で、今後のエネルギーを考えるべき。
解は一つしかないという立場に立つのではなく、違った意見をもつ人に話す機会を与えるべき。
エネルギーや原子力の見通しは、高度成長期の発想のまま全て一直線に増加するという考えにたっており、根本に立ち戻った議論が重要である。
議員になる以前に参考人として国会に呼ばれたことがあるが、その時は、議員は新聞に載っている話ばかりで、次の世代に何をすべきかといった議論がなされていない印象を受けた。
シナリオといっても、単純に原子力を他の電源で代替するといったものではなく、原子力をあるレベルとした時に、不足分を何で埋められるかといった総合的なものでなければならない。
ドイツでは脱原発という仮説の下でエネルギー政策を再検討しているが、科学技術の進歩のためには、大胆な仮説の設定が必要ではないか。
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