6-2 高速炉の開発の必要性
FBRについては将来の非化石エネルギーの有力な選択肢と理解しており、実用化可能性追求のための研究開発は必要である。ただ、軽水炉と異なり技術的難易度は高いのだから長期に取り組んでいくべきである。
高速増殖炉の研究を進めて、プルトニウムの利用を進めるべきである。プルトニウム抜きの原子力利用では、その魅力が半減してしまう。
原子力全体において高速増殖炉は必要であるが、高速増殖炉なしの原子力でも、かなりの間成り立つということも考える必要がある。
高速炉開発はエネルギーセキュリティの観点から必要である。高速炉と海水ウラン利用の両方について、ある程度の技術的ポテンシャルを確保していることが、エネルギーセキュリティにつながる。
諸外国が高速増殖炉開発から手を引いたから日本も手を引くというのではなく、むしろチャンスだというくらいの気持ちで高速増殖炉開発に取り組んでいくべきなのではないか。
高速増殖炉は、未来のエネルギー資源確保のためにも素晴らしいものが開発されなくてはならない。そのための新たな高速炉として、米国アルゴンヌ研究所で研究されている金属燃料を利用した小型高速炉と乾式再処理が有効である。この新しい概念を採用した高速炉は、固有の安全性を有し、運転員が不要であり、さらに負荷追従運転が可能であるという点で優れている。電中研もカリフォルニア大学等とともに共同研究も考えられる。
小型の固有安全炉については、出力密度が低くコストも割高になる短所もあり、人工的な安全装置を信頼し大型炉を選択するか、小型の固有安全炉を選択するか、判断を行う必要がある。
プルサーマル、再処理の問題を議論するためにも、高速炉開発の位置づけを明確にする必要がある。「もんじゅ」がだめなとき高速炉路線をどうするのか、「もんじゅ」と高速炉開発は区別して議論すべきである。
高速増殖炉は「資源問題を低コストで解決できる」というのが開発当初の考え方であったが、それも今は状況が変わっている。現在のエネルギー情勢の中で高速増殖炉を実現することの意義、そのための費用、資源の節約効果等について議論し直さなくてはならない。
21世紀の中頃までを考えると、新エネが一定の役割を果たすのは、エネルギー需要が横這いかマイナスの場合だと思う。高速増殖炉についても、評価の基準をはっきりさせるべき。
高速増殖炉を実用化するとしても、さらにどのようなタイプの高速増殖炉の実現が可能なのか、ということも議論されるべきである。
高速炉は、何が何でも必要不可欠な物と位置付けられるべきものではなく、経済性、資源制約、国際動向等を踏まえて検討されるべき。
高速炉開発のあり方は、資源問題によって変わってくる。海水ウランの回収が50年で実用化するならば、高速炉は当面いらなくなるかもしれない。旧動燃はやはり硬直化した計画を与えられていたといえる。
高速増殖炉は「もんじゅ」の延長上で実用化できるのか、経済性があるのか、核不拡散性の高い小型炉が良いのではないか等について、検討を行うべきである。
実用化というためには、経済性も大切だが、まず工学的な信頼性を獲得することが必要ではないか。ユーザーが惚れ込んで発注しなければ、実用化できない。
高速炉と高速増殖炉と2種類の呼称があるが、国策としての高速増殖炉開発はやめるべきである。コスト的に引き合わず、増倍時間が40年~90年というのも、国の目標として適切ではない。高速炉のように先の見えないものに投資するよりは、制度的な問題を解決して、省エネ、新エネに力を入れるべき。
私自身はFBRには反対だが、研究、議論することに異議はない。
人類は軽水炉によりローカルオプティマムを追求してきたが、高速炉でなければグローバルオプティマムは達成できない。しかし、いったんローカルオプティマムに達すると、それより優れたところへの移動は困難である。
高速増殖炉では、燃料の利用効率を軽水炉の100倍にできる。また、海水ウラン利用が実用化しても、廃棄物の問題が残ることは認識すべきである。
増倍時間とは、再処理等サイクルの時間も含めて、自らが必要とする燃料を生産する時間で、再処理能力等状況によって変わっていくものであり、決定的なファクターではない。
FBRは何十年か先に必要になってくると思うので、FBRの研究のためにプルトニウムが必要である。
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