5-1 学校・社会教育における原子力教育のあり方
学校教育でより原子力を取り上げて、将来を担う子供に対して教育を行い知識を広めるべきだ。
日本は資源に乏しいためエネルギー自給が困難であり、原子力発電は必要であるという認識を広めることが必要である。そのためには、省エネルギー運動、エネルギー教育等により正しい知識の提供に努めることが重要だ。
日本の中学校では、2002年から「総合的な学習の時間」が設けられるが、この時間を使って、環境エネルギー教育に本格的に取り組んでいく必要がある。そこでは自分で問題点を見つけ、調査し、話し合いを進め、自分なりの意見を持てるようにしなくてはならない。
日本の若者は省エネルギーに無関心な層が多く、電気の利便性の享受はするが、それを得るためのプロセスには関心が低い。ただ経験がない分、省エネを神聖な面白いものと捉えることができるかもしれない。
最近の若い人は、科学技術に対する興味を急速に失いつつある。この点について、国として考えていく必要がある。
日経の調査では、特に20代の若者が将来について暗い予測をしている。しかし、努力する意志はあるはずであり、それを活かすために必要な制度、仕組みについて議論をすべきではないか。
原子力については、恐い、危険という人が多いが、より深い学習を進めて、これからのエネルギー問題について自分なりの考えを持てるようにしなくてはならない。今の子供達の意識の中では、原子力という言葉を原爆に結びつけてしまい、だから怖い、危険と連想される。このようなイメージを払拭することが必要であり、問題をどう解決すればよいか、議論すべきである。
議論が分かれているのであれば、様々な議論がある事実をそのまま子供達に伝えるべきである。安全性だけを主張しても、誰も責任を持てない。
英会話学校などで日本人が不得手とされるのが、ロールプレイである。反対賛成の立場を逆転すると、議論が成り立たない。ロールを変えた場合にも議論できるように、我が国の将来の教育も大切である。
我々の行った世論調査によれば、原子力に対する知識が平均かそれ以下の場合に原子力に対する恐怖感はほぼ一定であったが、知識が平均より高い場合には、男性については知識の増加とともに原子力に対する恐怖感が減少する傾向があり、逆に女性については知識の増加とともに原子力に対する恐怖感が増加する傾向が見られた。公衆に対して、一元的にメッセージを発信するというPA活動の手法について、見直しが必要ではないか。
放射性廃棄物については我々の世代だけでは処理しきれない問題であり、このことを含めて子供達に伝えて行くべきである。
今日の原子力を巡る問題の閉塞的な状況を解決するためには、自然科学だけでなく、世論間にあるギャップを埋めるといった社会科学的な知識が必要である。
原子力に対する人々の知識量が不足しているのではないか。従って、社会教育の強化が必要だと思う。
一般の人々により大きな責任感を持たせることが必要であり、それが現在の原子力のあり方を巡る議論の解決にも寄与する可能性がある。
「原子力」という言葉が非日常的な分野で語られることがおかしい。より日常的な中で原子力が語られるような状況にまで持っていきたい。
日本の理科教育では、結果や言葉だけを教えており、プロセスを教えないことが問題である。
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