3-3 行政システム
国の行政の縦割りを超えるため、横割り型の組織を考えるべきである。また、原子力行政については、個別省庁とは独立した組織が実施していくべきである。
国の体制を一元化することには賛成だか、私は原子力行政ではなく、エネルギー行政の一元化という見解を持っている。
いろいろなエネルギーの専門家に集まってもらいオプションを議論してもらう場が必要である。
決定のプロセスとして、専門家が複数のオプションを提示し、そのオプションに対し、責任を有する利害関係者を交えた議論の場で決定するといった2段階による決定方法を採るべきである。
行政側の対応を見ると、通商産業省の総合エネルギー調査会や、原子力委員会の長期計画策定会議においても、評価軸を含めた議論が行われている。行政側で、エネルギーの評価軸の問題について議論していないのではなく、関係者間である程度のコンセンサスがあることを前提としている。ただし、そのコンセンサスが国民の意識と合っているかについては、議論してよいかも。
総合エネルギー調査会の需給部会等は各エネルギー相互の関係について議論することになっている。新たな仕組みを考えるより、今ある仕組みを有効に使う方がよいのではないか。
総合エネルギー調査会の各部会は、各々が独立して議論しており、総合的に扱われていないのではないか。
総合エネルギー調査会でも、ドラフトを作成した後にパブリックコメントを求めるのではなく、議論のテーマ自体にコメントを求めることをやってみたが、いろいろ難しい点があった。いずれにせよ審議会自体が国民の信任を得る努力をする必要があることを認識すべき。
官僚機構や特殊法人などの組織の運営方法等のシステムに関する議論が必要であり、一般市民の視点も必要である。したがって、これらの運営システムを抜本的に見直すため、懇談会など第三者的な組織を設置し、政策評価を行うべきである。
民主政治の枠の中で選挙で変わる人と長期的に検討する専門性を持った人の組合せはローマ時代からあった。官僚が政を乗っ取っているのは問題だが、官僚が政策決定プロセスを公開し、国民の意見を聞きながら進めるという方法が最良のシステムではないか。今後は、成熟社会への過渡期にある社会情勢、規制緩和への流れなどを踏まえて、行政システムのあり方について検討する必要がある。
戦略とルールの中で市場を運営して行くべき。現状は、国家レベルで「官」が「公」を乗っ取っていることが問題。「官」は過去を絶えず正当化し、表面的な秩序を重視する傾向がある。日本的な「ムラ社会」には良い面もあるものの弊害もある。「公」の側面を重視すべきではないか。
原子力の運営体制について民間にまかせるべき部分と公共にまかせるべき部分がある。具体的には、原子力発電と使用済燃料貯蔵は民間にまかせるべきである。一方、環境安全性の確保、長期的なエネルギー開発、平和利用への限定、核不拡散の推進などについては公共にまかせるべきである。
全原発に地元自治体の職員を24時間派遣し、事故の監視と自治体との連絡、通報を行わせ、将来は幹部に登用させるべきである。
日本政府は事故時の混乱時に、いろいろ対策等を決めるが、その内容の妥当性は、何年か後に議論し評価すべき。フィードバックするメカニズムを作っておく必要がある。
MOX燃料の輸送、使用済燃料の再処理に係わる条約は、外務省が関与するなど原子力利用は多方面にわたる問題であり、総合的に検証すべきである。
エネルギーに限らず、我々の周りには無駄が多いが、それを抑制するため、厳しい規制をすると、失業者が沢山発生することになる。
規制により失業者が増えるという議論は極論で、例えばかつての日本での公害対策のように規制と経済成長がうまくいった例もある。
石油危機、経済成長等の社会状況が変化しても、原発の設備容量は年2基のペースで直線的に増えてきた。原子力政策は変わらない点、政策決定システムがわかりにくい点が問題ではないか。
現状の運営システムを抜本的に見直すべきという考え方がある。その反対に、新たなシステムを構築すれば状況が改善されるという考えには疑問とする意見もある。
 
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