エネルギー源の多様化は必要である。ただしその多様化したエネルギー源の中に原子力エネルギーを含めるのかどうかと言う議論には賛否両論がある。 「原子力ありき」から始まるのではなく、「原子力がなぜあるのか。なぜ原子力か。」という原点に立ち戻ることが重要である。 原子力政策はエネルギー政策のみならず,温暖化対策等の環境政策、化石燃料消費の抑制問題等も組み合わせて総合的に判断されるべきである。 日本のエネルギー問題を考えるときに使われる「ベストミックス」についてもどういう状態を指すのか議論する必要がある。経済性、自然界との物質収支、資源論(量、偏在)等と、様々な観点があり、どのような観点で見てベストなのか、その評価軸をつくる研究が必要である。 エネルギーの評価軸の一つとして、エネルギー自給率を考えるべきである。産油国との交渉の場でも、自給率を高めておけば交渉を有利に進められる。その意味で原子力は不可欠なもの。 30数%程度の電力量割合は、原子力発電以外で十分代替できる数値。具体的には風力発電、太陽光発電等の開発を進めつつ、環境税の導入による省エネを図り、これらを前提とし、残りは化石燃料で賄える。 新エネルギーだけでなく、エネルギー転換効率の向上も重要。火力発電の効率を50%に上げると、その増分は2010年には677億kWhに匹敵する。火力と原子力で効率を10%上げると、原子力発電所34基分になり、原子力発電所の増設を抑制する。 自然エネルギー、核融合は半永久的なエネルギーであるが、核分裂も海水ウランを使うと「100万年のエネルギー」となる。 新しいエネルギーが開発されることを期待する。原子力の例からわかるように、新しいエネルギーがエネルギー供給をになうまでには30年から50年の時間がかかると想定されるが、これを踏まえた上で、新たなエネルギーの開発に努めていきたい。 石油価格の低落、規制緩和により化石燃料依存度が高まりつつある。原子力に対する根強い不安感が、原子力に対するモラトリアムを生み出しているが、エネルギー問題への対応はモラトリアムになってはならない。 エネルギー問題は安定供給と環境問題の2つの観点から長期的な視点を持って対応することが必要である。また、途上国および将来世代に対するエネルギー政策の議論が必要である。 関西産業界では、エネルギー使用の効率化やリサイクルに努めているが、エネルギー消費量は増加する見通しであり、新たな電源は不可欠である。 第三次石油ショックが起きれば、日本が如何にエネルギーを確保するかを本気で考える機会となる。 政府の2010年までの見通しでは、2%の経済成長、原子力モラトリアムを前提とすれば、2.7%の省エネルギーが必要とされている。年間2.7%の省エネルギーというのは、世界で最も省エネルギー化が進んだ石油危機直後の日本の省エネルギー率を越える値であり、このような省エネルギー化を進めるのは困難である。 政府見通しの前提である経済成長2%という値については、以下のような議論がある。 ・需要横這いの前提に基づくものである。 ・成長率が低いと、失業年金の問題が出てくる。 ・経済成長とエネルギー消費の伸びは同値ではく、経済とエネルギーのあり方の議論が必要 である。 省エネルギーについては以下の意見がある。 ・原子力モラトリアムを前提とすれば、2.7%の省エネルギーが必要とされているが、このよう な省エネルギー化を進めるのは困難である。 ・日本の若者は省エネルギーに無関心な層が多い。 ・技術開発により、今後大幅な省エネを達成することが可能である。 ・エネルギー消費の増大を前提としない省エネルギー型の構築を図るべき。 化石燃料消費には制約がある。一方、中国等のアジア諸国が日本並の産業力を有するようになった時、日本がこれまでのように石油が使えるのかという問題もある。将来にわたっての石油の入手可能性についても地元の納得を考慮するべきである。 国際競争が激化している中、低コストで良質なエネルギーの確保は産業界にとって不可欠である。 環境税に関しては多様な方法が考えられる。炭素税に関しては、税徴収対象のシフト、使用方法のシフトにより効果が得られるという意見と、省エネ効果は余り大きくないと言う意見がある。 省エネは施策で実施すべきである。例えば石油価格の下降時にも省エネが進む政策や、NGOのような国民的運動支援など。 原子力発電に対する賛成派も反対派も、エネルギー問題を心配しているという点では一致している。 水道事業法、電気事業法でもピーク時の需要に対応することが求められているが、ピーク時を前提とした設備の整備については、考え直す必要がある。 供給者側によるエネルギー需給計画が信用されない現状を打開するため、需要サイドによるエネルギー需給計画を策定することが有効なのではないか。 個々の問題を議論していけば、非常に細かくなる。総合的な議論をすべきである。 |