核燃料、原子炉材料に関する研究開発手法を分節化して合金設計、材料設計手法へと普遍化し、物質・材料データベースを基盤とした材料設計システムの概念構築とプロトタイプシステムの設計・開発、核融合炉設計のための材料データシステムの設計を行った。有機材料、無機材料、合金、複合材料、半導体、超伝導材料、構造材料、諸機能材料等々の全ての材料分野における材料設計の範例を設計知識として整理し、さらに材料設計のための基礎理論から知識の再利用のためのデジタル化手法を提案して、当該分野を代表する参考書となった「新材料開発と材料設計学」(ソフトサイエンス社、1985年)を編著者の一人として纏めた。
材料設計学の基本的なアイデアについては、その8年前の論文(Shuichi Iwata, Shiori Ishino and Yoshitsugu Mishima、Alloy Design by Automatic Modeling and Estimation of Values From Experimental Data、J. of Fac. of Eng.,Univ. of Tokyo, XXXIII, No.4, pp.358-423、1977)で示してあったが、この論文は1982年の米国NAS/NAE主催のMaterials Data Workshop特選論文として選定された。
その後、このデータ駆動型材料設計手法は高温超伝導材料のデータベース開発と材料設計のための仮想実験手法として発展した他、ソフトフェライト開発へと応用され日本金属学会論文賞、そして本格的な材料設計システムの実現のための分散型材料設計システムへと進化して原子炉材料データフリーウェイの研究開発に貢献し、科学技術情報振興賞受賞へとつながった。さらに設計における求解手法のバイオ分野への応用が成功し、GIW 2003 Best Paper Awardの受賞につながった。