7-2 国民意見の反映システムのあり方
政策決定システムに市民の意思がより反映されなくてはならない。そのための体制として、全国民的な議論の場を設けるなどの方法が考えられる。
デンマークの例のように、政策決定への市民参画、具体的には市民が専門家から情報を得て判断を行うコンセンサス会議の設立を提案する。
原子力政策について全国民的な議論の場を設けてもまとまらないし、仮にまとまれば大政翼賛会になる。また、市民も方針を誤る可能性があることも念頭に置く必要がある。
国民合意とはどういった状態を指しているのか、明確にするための議論が必要である。そうでないと、原子力を巡る議論は最後には感情的になってしまうだけではないか。
政府は、専門家と一般人を繋ぐような議論を展開できる人材の発掘により、技術をベースにした議論が一般に広がるよう啓蒙に努めるべきである。
原子力政策に関する情報提供に関して、なかなか市民には理解が難しいと考えられがちだが、やり方次第では理解できるのではないか。その工夫が必要である。
国民がエネルギー問題に関するリスクの情報を持つべきであり、その上で国民の意見を求め決定していくことが望ましい。
円卓会議で出された意見は、聞き放しではなく、随時、原子力研究開発利用長期計画の審議に提出されるべきである。また、国民の意見を随時審議に取り入れて、双方向的な公聴会を開くべきである。
フリーライダーの抑制が必要である。対策は、法律による規制、補助金等による誘導、一般人の政策決定への参加による決定単位の縮小である。一般人の行政への参加は、一般人の意識改革につながる。
原子力推進論では地球温暖化防止問題への対応、小資源国の日本がエネルギーを確保するためといったことが強調されてきたが、国民はそもそも物質の大量廃棄、大量消費に疑問を感じ始めている。従って、原子力推進か反原子力かといった二極的な議論ではなく、より大局的な議論を始めて、国民的合意を形成すべきである。
原子力発電所の立地の民主化のため、一人一人の市民の意志表示ができる制度として、法的な拘束力を持つ住民投票を検討、活用すべきである。制度を保証し、その効力をどう評価するのかは、政治が決める。