6-5 高レベル放射性廃棄物処分:処分の方法
専門的には、長期安定性を考えると地下が優れている。多くの人が納得するためには、地下を見てもらう必要がある。
現在、技術的には100点ではないが合格点であると思う。アメリカ等の例を見ると、技術的には成果はあるが社会的には受け入れに至っていない状況。回収可能性は技術的評価も重要であるが、社会的に受け入れられるかが問題。
スウェーデンのストリーパ計画は、国際的プログラムとしての研究施設であるが、地層は処分に適しておらず処分場にしないことを明示している。研究は厳しい条件で行った方がよいので日本でもそのような場所に研究施設を作ればよいのではないか。
アメリカのヤッカマウンテンでは、地下水位は600m下であり、日本の地下構造と状況が異なる。
欧州が地下を選択したことに加え、地下であれば人間環境から隔離できるから専門家は地下の方が安全と思うが、素人は逆に地下では不安になる。素人の発想でこの問題に取り組んだ方がいいと思う。
研究所の処分場への転用は心配である。核燃料サイクル開発機構の第二次とりまとめを見ると、処分する地層をあらかじめ決めている。報告書では結晶質岩としているが、幌延は堆積岩であり、なぜ研究するのか疑問である。
地上に高レベル放射性廃棄物を置くのは処分ではないが、回収可能な状態で地下に置けば、いずれ処分に移行することもできる。回収可能性を保証した地層中の保管であれば受け入れられるのではないか。
地層研究を先行して行うことについて、どこも同じ地層はないので、研究の結果、適切と分かれば、そこが廃棄物処分場になるのではないかという不信感が地元にはある。ルールを作り廃棄物政策法のような枠をはめて進めていく方がスムーズではないか。
高レベル放射性廃棄物を急いで地下に埋設するのは適切ではない。一定期間、地上で保管している間に、並行して新たな処分技術が進展することが期待できる。
地下については検討し、研究する必要があるが、日本では地下研究施設を作るのにも地元などから賛成してもらえない。立地問題であり難しいが、研究が進んでいないと処分の具体性は出てこない。
技術的に合格点なら、なぜ研究所が必要なのか。処分場として有望な場所の方が研究所として望ましいのではないか。
とりあえず、原子力発電所のプールに保存しておいて、消滅処理の研究をする。地下に埋設するのは、日本のプレートを考えると将来まで保証できない。プルトニウムは2万4千年が半減期であり、埋設により2万4千年先の子孫に責任を持たせる訳にいかない。
地層処分の議論では後世の人に影響のないようにというが、事前評価のみならず後世の人がモニターできることが必要である。地上処分というのはそういった考え方の反映ではないか。
地層処分が既に基本政策として推進されていることが疑問である。処分方法についての十分な議論が済むまでは、放射性廃棄物は地上で保管して、回収可能な状態で長期管理されるべきである。すでにあるプルトニウムはガラス固化体にして、地上管理で直接処分を行うべき。とりあえず地上で管理することを基本政策とし、その後どうするか、研究や議論を進めるべき。
最終処分については、青森県知事の公約もあり政治的には時間がない。処分場の候補地が見つかれば、後は時間をかけて技術的問題に対処すればよい。地上で50年程度貯蔵するというのであれば、場所が見つかるであろう。
貯蔵場所として適切なのは地上なのか、地下なのかという議論は、地下貯蔵が本当に安全なのか否か実際に調べて明らかになったときに結論が出る問題である。従って、そのためにも地下の状態を調べる施設を作って研究するべきである。
青森の貯蔵施設で50年、更に新しい地上貯蔵施設で50年貯蔵すると、合計100年貯蔵でき、その間に色々な技術が生まれる。高レベル放射性廃棄物を急いで地下に埋設するのは適切ではない。一定期間、地上で保管している間に、並行して新たな処分技術が進展することが期待できる。