6-5 高レベル放射性廃棄物処分:全般
ガラス固化された高レベル放射性廃棄物の発生量は1mg/kWh程度であり、この位の少量であれば、技術的に安全な貯蔵は可能である。
最近の状況を見ると研究施設の設置のめどはついているのではないか。また、一時的に保管するにしても、次の搬出先の保証がなければ、それもできなくなる心配がある。
核分裂エネルギーを有効に利用するシステムとして必要な研究(放射性毒性を持つ物質の分離、消滅)の推進体制の整備が不十分である。これらの研究は着実に進められなくてはならず、大学等にも予算措置を講ずべきである。
研究施設が最終的に処分場になるのではという点は大きな問題ではない。県には建物建築の許認可権があり、廃棄物を入れるかどうかは地元との契約、約束により決まるものである。
いやがるものを無理矢理押しつけるのは駄目であり、六ヶ所では安全だと判断し核燃料税も有りメリットが有るから受け入れた。また、これと並行して現在の六ヶ所村の貯蔵場所以外の新規貯蔵場所の選定も進めるべきである。仏での地下研究所に関する調査でも同様の傾向が見られたが、高レベル放射性廃棄物処分の研究施設の立地の自治体受け入れにおいては、当局が自信を持って説明を行ったことが成功につながった。
何万年か後の人にとって資源としての価値が有るかという議論はあるが、廃棄物を埋設したことについて倫理的な問題が残る。
高レベル放射性廃棄物の処分方法を検討する際は、処分の期間はせいぜい数百年を視野におくべきである。政策を論じるのに数万年後までを考慮してというのは無理がある。
高レベル放射性廃棄物の処分については、現在の世代が責任を持つべきである。次期通常国会では高レベル廃棄物事業について関連法案の審議ができる見込み。
過疎の貧しい所に廃棄物を持っていって、将来住民に障害がでるのではという不安が一般人の最初の反応である。
東海村内には最終処分地が決まるまでの一時的保管という名目で、高レベル、低レベル放射性廃棄物が集められ、その中には自前での発生分以外からの廃棄物もある。しかしながら一向に最終処分場が決まらず、また、高レベル放射性廃棄物の中にはガラス固化体ではなく、液体の状態のままにされているものもあり、これらについても不安だ。
すでにあるプルトニウムはガラス固化体にして、地上管理で直接処分を行うべき。とりあえず地上で管理することを基本政策とし、その後どうするか、研究や議論を進めるべき。
これまで原子力政策は先行的に決定されてきたが、技術的な裏づけが不足している。このような政策と実際の技術の乖離はサイクルの下流に向かうほど著しくなっているので、高レベル放射性廃棄物処分の問題もこの点を考慮して検討されるべきである。
使用済燃料の最終的な処分方法が不明確なままであり、さらには使用済燃料そのものが処分対象となる可能性もある現状において、急いで政策を決定するべきではない。
高レベル放射性廃棄物の処分に際しては、慎重、確実、安全が重視されるべきである。
各国の計画でも回収可能性についてある期間を考えることとなっている。日本の原子力部会での議論でも、同じではないが300年程度は監視を続けることになっており、ある意味で回収可能性を意味している。
安全性の担保が重要であり、リスクが許容範囲であれば倫理的にも問題はない。どの位安全なら安心なのかが問題であり、安全と安心を近づける努力が必要である。
MOXの利用は我が国の原子炉で地道に実証試験を行い、その信頼を回復させる。プルトニウムを今使ってしまうのではなく、使用済燃料は中間貯蔵し、科学技術の進歩を待って、将来の技術に委ねるのがよいのではないか。
高レベル廃棄物、もんじゅについても国際的な専門家を集めた会議を開くべきである。
使用済燃料や放射性廃棄物の問題がはっきり示されていないことが、反対意見の根拠となっている。
仏では回収可能なオプションを残すような方向性がある。専門家ほど、地下のことが分からないことを強調する。地下何千メートルのことは分からないというのが科学の現状であろう。
高レベル廃棄物処分については、深地層処分は放射能汚染の可能性があり、浅地層処分、地上保管等の他の方法についても再検討されるべきである。
現在以上の放射性廃棄物の発生を抑え、その総量が確定してから、これらの処分方法についての議論を行うべきである。
海外の原子力発電事情を見ると、高レベル放射性廃棄物保管計画が確立している国はまだ無いようだ。技術の早期確立とともに、廃棄物が将来再び資源化されると良いと思う。
処分方法の選択肢を示した上で議論が行われるべきである。ただし、群分離、消滅処理が有効かというのは疑問だ。
高レベル放射性廃棄物、核燃料再処理の問題等、現在の原子力政策は問題を先送りしてきた。
安全確保、安心確保のための研究が重要であり、国際的な共同管理構想も含めた施設の整備が重要。事業化において、最終処分場の建設が自治体にとって魅力的となる条件整備が重要。また国民、地元、有識者、ジャーナリストなどがイメージできるような情報を多く提供すること。これらを包括して計画し、並行して進めなければならない。