3-4 専門家・利害関係者の位置付け
今日の原子力は基本的に政治の問題であり、この点を事業者は軽視してはならない。また、原子力にはもっと政治学、行政学の専門家が関与すべき。例えば住民投票を例に取ると、我が国の現行の議会制民主主義の枠の中では、住民投票は補完的なものに過ぎないことを認識すべきだろう。
専門家がいないと議論はできない。しかし、事業者、行政、学識者等の利害関係者が原子力政策の議論に参加すると、推進が議論の前提となる。利害関係者以外で、原子力についてよく勉強している人が議論に参加すればいい。
専門家はみな推進派となっている印象がある。また、原子力推進派の掲げる理念には反論が難しい状況がある。「素人」は議論をする余地がない。
原子力委員会では、エネルギー問題だけではなく、放射線利用などの広い分野について議論している。各省にまたがる領域を統合して判断し、ものを言うには、少なくとも5人の見識を持った人が必要。原子力委員会については、内閣府に移った後に十分な機能が果たせるよう運営の改革を行い、国民に見えるようにしていくことが重要。
運用については、専門家が採用可能な選択肢を複数用意して、議論を透明にして、ステークホルダー(利害関係者)の間で政治的な決着をつけることが現実的だ。これが代議制民主主義の基本である。