3-1 国会での議論の必要性
原子力政策は原子力委員会ではなく、国権の最高機関である国会に原子力特別委員会を作り、集中的な論議を行うべきである。
原子力およびエネルギー政策は、長期的かつ重要な問題であるので、国会の場で議論することを基本とすべきである。
原子力委員会あるいは行政は、計画の誤りを認めず、率直な議論がなされないので、原子力政策については、国会が何らかの関与をすべきである。
今日の原子力は基本的に政治の問題であり、この点を事業者は軽視してはならない。また、原子力にはもっと政治学、行政学の専門家が関与するべきである。
国会が国民を代表しており、原子力政策の意思決定を全て国民に直接委ねるという意見には反対である。原子力政策の決定プロセスを透明化し、説明責任を果たして民主主義を一歩一歩進めて行くべきではないか。また、現在の国会の状況を見る限り、国会に新たな組織を設けても機能しないのではないか。
原子力研究開発利用長期計画に沿って政府は予算を措置するが、原子力関係の予算は、1992年から来年度までの累計で4兆2千億円であり、これは新エネルギー関係の予算の約8倍である。行政はいつも予算は国会で認められたことと言い訳するが、大本は、国会で十分議論し、執行のみ政府にまかせるべきである。その意味で、いままでの原子力政策については、行政ばかりに責任があるのではなく、国会にも責任がある。
1983年に行政の示したエネルギーの長期見通しについては、90年、94年ともに実績はこれを下回っている。見通しと実績が大きく乖離している場合には、その原因を明らかにすることが重要であり、これらは国会の場で行われるべきである。