Food
坂田・酒井・高橋(洋)チーム
食の事業構想
○食の事業構想における注視すべき事項
ディスカッションの結果、主に以下 5 点の注視すべき事項が挙がった。各々についてディスカッション内容を記す。
1.食のパーソナライズ
食のコモデティ化、多様化が進む中、今後はいかに個人のニーズに対応できるかが鍵である。対応策として顧客データを扱える EC が一つの戦略と考えられるが、他産 業と比較して食品の EC 化は遅れている。イオン等の大手小売は IC カード等の個人 情報を元に、パーソナライズした商品の展開も行っており、参考となる事例である。
2.ブランド価値
ニーズが多様化する中、ブランドの強化も必要となる。以前、アマゾンが中国の独身の日に売り出したものは、築地市場で最も高値を付けた海鮮品を加工したものであ った。この一例からも、海外での「日本の食品」というブランドの価値は高いことが 伺える。事業構想を考える上で、ブランド力のあるインバウンド向け食品、越境 EC 向け食品の展開は無視できないビジネスである。牛乳に限っては 20 代の女性の購入 率が低く、それに対するブランド戦略も必要である。例えば、原宿でアンテナショッ プを運営し、インスタ映えするような施策を行うことで、若者の間での拡散も狙える。
3.高齢化社会
健康寿命延伸が求められる社会の中、食品にもこれに沿った取り組みが期待される。
食と健康をビジネスとして成功している例がタニタである。人々が敏感な「カロリー」 に注目し、それを低減させるような食品、飲食店等の展開を行っている。今後の健康 寄与デバイス、アプリの拡大を考慮し、食品メーカーはそれらの企業とオープンイノ ベーションするのも新事業の一つである。例えば、心拍数や血圧等の健康状態をモニ ターするアプリメーカーと協業し、個人の健康に合わせた食品を推奨・宅配するよう な事業も面白いかもしれない。また、美容に関心のある女性シニア層が増加すること から、食べることにより、内面から美容に寄与するような商品展開も必要とされる。
4.忙しい人への対応
人口減少・共働き化に伴い、忙しい人達への食の展開方法も検討する必要がある。
トイザらス日本法人はこれまでの大型店舗から、都市部での小型店舗化へ変革してい る。小型店舗化により、求める商品を探し易い店舗となり、時間が限られる忙しい人 達の指示を得ている。LINE もオフライン戦略を行っており、食品デリバリー、テイ クアウト等進めている。今後はこのような企業と協業することも、食品企業としては 必要なのかもしれない。
5.シェアリング
人手不足に伴い、シャアリングも注視すべき事項である。食品における最近の話題では大手ビールメーカー同士の共同輸送が挙げられる。一方で、食品の共同輸送がな かなか浸透していないのも事実である。その一因として、企業間を取りまとめるコン サルタントがいないことが挙げられる。食品企業自ら取り進めることで、新事業構想 に繋がる可能性が考えられる。環境負荷の観点から、消費者による商品自体のシェア リングも注視すべきである。例えば、コストコの商品は美味しそうで非常に魅力的で あるが、一人や二人ではとても食べきれない量である。その場で他の人とシェアする ような、効率的な買い物を進めるプラットフォームも面白いかもしれない。